NC旋盤は大量生産が可能なため、大手企業の下請けとして部品を提供している工場が殆どです。最近は商品のサイクルが短く、すぐに新製品発売やマイナーチェンジを行うため、製造する製品のサイクルも短くなっています。その為、新しい製品が発売されるたびに、必ず試作品を製造して実際のライン作業で大量生産を行う事が可能なのか事前にチェックする必要があるのです。

図面の作成は他部署が行いますが、試作品の製造はNC旋盤を扱うプロである現場の方が行います。図面通りの精度高い製品を作るには経験と勘を生かして機械のプログラムを変更します。試作品が完成したら、機械の速度を上げて不良率をチェックしながら機械の設定を行っていきます。最近は、難素材と呼ばれる硬い金属の需要も増えており、高い技術が求められるようになりました。何度も試作を繰り返して、大量生産でも公差に入る試作品を作り出すのは簡単な事ではありません。

転職した人がすぐに携わる事はありませんが、将来的に機械を任されるようになれば必ず試作品製造の任務を任されるようになります。NC旋盤を扱うプロとして意見を伝える事も仕事なのでコミュニケーション能力も求められる仕事です。

NC旋盤はものを削る機械ですから、刃の部分は消耗品です。必ず作業前後にチェックして必要に応じて交換する必要があります。また、可動部分が多いので油を指すメンテナンスが必要となります。他にも、ベアリングの破損やベルトの伸びなどチェックする項目が沢山あります。

機械のメンテナンスは機械を熟知しているオペレーターにしか出来ない仕事です。その為、機械のメンテナンスも仕事に含まれるのです。大量生産を行っている工場では、トラブルによる運転停止が発生すると遅れを取り戻す余裕はありません。納期遅れは信頼を失いますから、しっかりメンテナンスのための時間を確保しています。NC旋盤を分解して内部構造を知る良い機会にもなります。

転職してすぐの方は先輩社員と一緒にメンテナンスを行います。初めて使う工具も多いですが、しっかり教えてもらう事が出来るので未経験者でもすぐに覚える事が出来ます。消耗品とされる部品は限られていますから難しい事はありません。機械のメンテナンスまで出来て初めて、NC旋盤を扱うプロと認められるので、しっかり学ぶ必要があります。

工場でNC旋盤を扱う人は、朝礼で仕事の進捗状況の報告と、今日の生産予定を報告する事から作業が始まります。大抵の場合、指示書、図面などが用意されているので指示に従い、作業を進めます。計画生産を行っている会社が多いので、仕事の遅れが発生している場合は、残業の指示などもこの場でもらう事になります。

現場に下りると、まずは原料を機械の元に運びます。そして、製品を製造して仕上がりチェックを行います。補正を掛けて連続運転に入れば、休憩時間まで機械を止める事はありません。

昼休みを挟んで、午後も連続運転を行って予定の生産数を仕上げたら機械を停止させます。そして、機械周り、内部を綺麗に清掃します。この際、機械の消耗品のチェックや破損個所が無いかを入念にチェックして機械の電源を落として作業終了です。最後に、製造数、不良数などの日報を付けて1日の仕事は終了です。

午後からは、試作品の製造を行ったり、機械のメンテナンスや改良のために製造を見合わせる事もあります。時には、技術を習得するために、講習会や研修会に参加する事もあります。

NC旋盤は私達の快適な生活に不可欠な製品の部品を製造しています。その為、NC旋盤を扱う技術を身に付ければ一生安泰とも言われています。工場の仕事が数多くありますが、中でもNC旋盤の技術は今後もさらに需要が拡大すると言われているのでおすすめの仕事です。

ただ機械を扱うだけの仕事は数多くありますが、プログラミングの知識まで身に付ける事が出来る仕事は限られています。現在、大量生産、品質の安定を目的として手作業で行う汎用旋盤からNC旋盤に切り替える会社が増えてきました。その為、オペレーターの募集を多く見かけるので、NC旋盤を扱うプロを目指すには良いタイミングです。

工場の機械化が進めば人は必要なくなるという見方をする方が居ますがそんな事はありません。特にNC旋盤のように精密な製品作りを行う作業は必ず人が仕上がりチェックを行って補正を掛ける必要があるのです。

今のタイミングでしたら、汎用旋盤を扱っていたプロのスキルを継承してもらう事も出来ます。数年後には汎用旋盤を扱ってきたプロ達が定年を迎えるので今がラストチャンスと言っても過言ではありません。もし、工場でNC旋盤を扱うプロを目指したいという転職者が居ましたら、残された時間は短いので急いだほうが良いです。