鍛造の仕事内容って?工場転職を考えている方必見!
鍛造の仕事で働くやりがいを探そう

工場の求人を探していて、鍛造という言葉を目にした事がある方も多いはずです。歴史は古く、日本では弥生時代に銅や鉄を鍛造していた記録が残されています。科学技術が進歩して様々な工法が生まれましたが、現代でも鍛造を超える技術はありません。
判り易く言えば、真っ赤になるまで熱した金属をハンマーや機械で叩いて金属を伸ばす仕事です。工場ではこの作業を鍛えると呼んでいます。
熱された金属は内部に空気が残っておりこのままの状態では強度が保てません。その為、叩いて内部の空気を抜いて強度を高めているのです。金属内部の状態は目視出来ないので経験と勘が必要になります。工場の仕事の中でも職人的なセンスが求められる仕事なのです。
金属を自在に操るやりがい、巧みに機械を使いこなすやりがい、そして自分の手で製品を作り出すやりがい等があり、モノ作りの醍醐味を味わう事が出来る仕事です。
鍛造は工場の仕事の中でも特殊で、機械任せに出来ない作業が多くあります。その為、鍛造の仕事に就けば機械のオペレーターでは習得出来ない技術とスキルを身に付けることが出来るので転職者は得るものが多くあります。
このように非常に歴史が古く、大事な技術として継承されてきた鍛造はやりがいも多く魅力的な仕事です。職人気質で勉強熱心な方なら、鍛造の技術を習得して職人として活躍出来るはずです。
鍛造の仕事内容を公開
鍛造の仕事は原料である金属を熱する事から始めます。1200℃を超えるまで金属を熱するので作業場は熱気に包まれます。金属の種類によって熱する温度は様々でしっかり
芯まで熱を加えなくてはいけません。
原料が加熱されたいよいよ転職者がイメージしているプレス作業に入ります。包丁などはハンマーを使って手作業で原料を叩きます。しかし、大量生産を行っている工場では機械を使って原料を叩くのが一般的です。圧の掛け具合、叩く回数などは原料の状態を見ながら判断します。
また、あらかじめ成形された原料を金型にハメて加工する工法を取る場合は焼きなましと言って金属を熱して潤滑油を掛け、そのまま型枠で成形します。
鍛造の仕事は金属を熱さず圧力だけを掛けて製品を作るプレス工の仕事を含めて募集していることもあります。こちらは原料をそのまま機械で圧を掛ける仕事です。
鍛造の仕事は高温の金属を扱ったり、トン単位の圧力を機械で掛けたりと危険を伴う仕事です。転職者の中には事故をイメージして避ける方も少なくありません。しかし、実際は非常に安全な仕事で労災を起こす事は滅多にありません。
その理由は、日々、安全確認を行っているからです。危険箇所やヒヤリハットを全員で探し出して事故を未然に防いでいます。鍛造の仕事は物を作り出すだけでなく安全確認も大事な仕事として捉えているのです。
また、自分達が使用する機械は自分達でメンテナンスしてトラブルを未然に防ぐ仕事も任されます。
このように工場の鍛造の仕事に転職した方は多くの作業に携わる事が出来ます。実際に転職を希望している方が、工場における鍛造の仕事を理解しやすいようにまとめました。ぜひ、自分が働くイメージを沸かせながら読んでみて下さい。
鍛造の仕事内容①:原料の加熱

原料となる金属はライン化された加熱装置や高炉で真っ赤になるまで加熱します。製品の厚みや大きさによって加熱時間が異なります。また、金属の種類によって加熱温度も異なります。その日、生産する製品によって加熱時間や温度を変更する必要があるのです。
加熱作業自体は機械任せです。温度と時間を設定すれば後は原料を投入するだけの簡単な作業です。
しかし、目を離すと機械の誤作動によって不良品が生まれる事もあるので必ず定期的にチェックして状態を確認します。
この仕事で大事な事は加熱装置の中には適切な量を投入する事です。繁忙期は忙しいので効率を優先したい気持ちが生まれます。しかし、ルールを逸脱すると不良品を生み出すだけでなく事故にも繋がるので注意が必要です。
転職した人は原料の準備から並べ方、機械の操作方法と全てを習うことが出来ます。ただ機械で金属を熱するだけの作業ですが時間、温度の設定が様々で覚えるまで時間を要します。この作業をしっかり行わないと、この後のプレス作業が上手くいかないので鍛造の作業の中でも非常に大事な仕事です。
鍛造の仕事内容②:プレス作業

加熱された金属は冷める前にプレスして中の空気を抜きます。小さい工場ではハンマーで叩く手作業で行っています。大きな製品を扱う工場や大量生産を目的としている工場では機械化されています。しかし、状態を見ながら圧の強さ、叩く回数を見極めるので叩く作業だけは機械に任せて人が仕上がりを目視で判断する事が多いです。完全にライン化する事が難しいので必ず人手が必要になる特徴を持っています。
この仕事で大事な事はスピード性ある作業を行う事です。「鉄は熱いうちに打て」という言葉がある様に覚める前に一気に作業を終わらせます。その為、加熱作業とプレス作業は人を分けて配置する事も少なくありません。手際よく仕事を引き継ぐためにはコミュニケーション能力も必要となります。
転職した人は、まず機械操作から勉強する事になります。そして先輩の指導の下、金属をプレスして仕上がりを見ながら製品を製造していきます。この作業も、経験と勘が必要となり、機械操作を覚えても完璧な製品を仕上げるまでは時間が掛かります。その為、じっくり腰を据えて仕事を覚えていく事になります。
鍛造の仕事内容③:圧延作業

鍛造の仕事は原料を叩いて成形する作業以外に圧延作業と呼ばれるものがあります。圧延作業は名前の通り、圧力をかけて金属を伸ばしていく作業です。大きなローラーで挟み込んで金属を伸ばして板状の製品を作り上げます。この作業を原料である金属を加熱せずに行う事が殆どです。その為、工場ではライン化されていることも珍しくありません。ローラーで圧を掛けて1枚の金属板を作り出したら、ロール状に巻き取る作業まで一貫して行えます。
この仕事で大事な事は異物を混入させない事です。ローラーに原料が吸い込まれる際、ゴミや虫が混入するとその部分だけ厚みが変わります。ミクロン単位の精度が求められるのでほんの僅かな異物も混入が許されません。
転職した人は機械操作を習うと同時に、原料を機械にセットする際、異物落とさない注意事項も教わる事になります。
作業は機械任せになりますが、常にモニターで圧の掛かり具合をチェックしておかなければなりません。また、最新の設備を持つ工場ではX線などの異物探知を行う機械も導入されておりこちらも監視が必要です。鍛造の仕事の中でも圧延は稼働状況の目視チェックがメインの作業となるので未経験者でもすぐに覚えて活躍する事が出来ます。
鍛造の仕事内容④:安全点検

鍛造の仕事は熱した金属や圧力を加える機械を使用するので工場では安全対策に力を入れています。定期的に工場内を見回って6S活動を行ったり、作業中に見つけた危険箇所やヒヤリハットの情報を共有しているのです。
鍛造の仕事は危険だと勘違いして工場の転職先から外す方も居ますが、実際はどんな工場よりも安全対策が講じられている労災の少ない仕事場なのです。安全点検は製品をお乱さない作業ですが従業員の安全を守るためには不可欠な仕事です。その為、講習会なども開いて仕事の一環として扱われています。
この仕事で大事な事は常に転職してすぐの不慣れな人の目線で安全点検を行う事です。少しでも気になる事があれば点検項目にチェックします。そして、改善策を提案してより良い職場環境を作り出します。鍛造工場では安全衛生委員会という組織を作っていることも珍しくありません。
転職してすぐの人は、作業に慣れていないので危険個所を見つける事は出来ません。しかし、慣れていない方の目線は非常に重要で、慣れた人が見落とす危険個所を発見する事も出来るのです。
鍛造の仕事内容⑤:機械のメンテナンス

鍛造工場で使用する機械は圧を掛けるプレス機やエアドロップハンマー、圧延機をはじめ、金属を加熱する炉など様々な機械を使用します。機械類は定期的なメンテナンスを行わなければ必ず故障したり誤作動を起こします。その為、工場では必ず機械のメンテナンスに時間を割くようにしているのです。
機械の動きを見て油を差したり消耗品のベアリング類を交換したりしています。モーターの異音をチェックしたり、エアーチューブの交換なども行っています。自分の担当する機会は自分でメンテナンスするのが一般的で機械に対して強くなれます。
この仕事で大事な事は機械特性を掴んでメンテナンスが必要な個所を押さえておく事です。機械はそれぞれ癖を持っているので消耗品を交換する場所が異なるのです。また、繊細な機械程、細かいメンテナンスが必要となります。
転職した人は、先輩社員と一緒に機械のメンテナンスを覚えていきます。油を差すだけの簡単な作業からモーター交換まで様々です。工場ではマニュアルとメンテナンスの記録を残すチェック表が準備されています。その為、多くの事を一度に覚えなくても表に従えば誰でも簡単にメンテナンス出来るはずです。転職希望者の中には機械いじりが苦手な方も少なくありません。メンテナンスと聞くと難しく感じる方も多いでしょうが、DIY感覚で行える作業が殆どですから身構える必要はありません。
鍛造の1日の仕事内容のスケジュールの一例

まず、出勤したら朝礼で今日の仕事内容をチェックします。注意事項をしっかり聞いてから現場に降りて作業を始めます。原料を機械の元に運んで鍛造作業を行うのですが、加熱処理を行う場合はこちらを先に済ませます。手で運べない原料はクレーンやフォークリフトで運搬するので転職者が思っているような重労働はありません。午前中一杯、機械を動かして鍛造作業を行ったら昼休憩に入ります。
午後も引き続き、鍛造作業を行って1日の生産数をクリアすれば作業は終了です。周辺の清掃をして機械のメンテナンスを行います。
明日の仕事をチェックして機械の設定を変更したり、レイアウトを変えて明日の準備を行います。最後に作業日報を作成して1日の仕事が終わります。
空いた時間を利用して安全点検を行ったり、原料の在庫をチェックして発注を掛けたりします。定期的に開かれる安全講習会に参加したり、資格取得の勉強も行います。現場での作業以外にも多くの仕事を任せられます。
年に数回は機械のオーバーホールの為、作業を止めて機械メーカーの技術者と一緒に機械を分解してメンテナンスを行う事もあります。
今鍛造の転職がおすすめな理由は?
鍛造で作られる製品は精度が高く切削では作り出せない頑丈さを持っています。もし、鍛造の仕事が無くなれば、自動車も電車も飛行機も使えなくなります。便利な家電も購入できません。私達の生活を支えている大事な仕事なのです。
最近はメイドインジャパンのクオリティが認められ、海外進出を行う工場も増えてきました。古い歴史を持つ鍛造は時代が変わっても、私達が快適な生活を求める限り亡くなる事はありません。
ここ数年、学歴よりもスキルを重視する企業が増えて手に職を持っている人は仕事に困らない時代になりました。スキル取得のために工場勤務を希望する人が増えています。
中でも鍛造の仕事は将来的に発展が見込まれており職が無くなる可能性はほぼありません。
現在、職人たちが定年退職を迎える時代に突入しているので転職するなら今がチャンスです。鍛造の仕事は経験者が優遇されるので人手不足の状態でなければ簡単に転職出来ないのです。今でしたら、熟練の職人から技術を継承してもらいながら一人前の鍛造職人に育て上げて貰う事が出来ます。
まとめ
鍛造の仕事は歴史が古く、日本の伝統産業として技術が継承されてきました。機械を自在に操って金属の形を変える作業は、まるで金属に魂を吹き込む様な仕事です。やりがいも多く、自分の手に職を付ける事も出来ます。工場の仕事の中でもモノ作りの醍醐味が味わいやすい仕事です。職人気質で勉強熱心な方でしたら、転職すれば立派な職人に育て上げて貰う事が出来ます。熟練者の技術継承の受け皿として転職すれば、いずれは立派な技術継承者に成長できるはずです。